地域で守る子供の虫歯、今こそ活発な議論を

S__26083331.jpeg2019年4月10日 沖縄タイムス掲載


虫歯は、虫歯菌による感染症でありながら、栄養が豊富な事に起因する生活習慣病の側面を併せ持つ。虫歯になるような生活は、いずれは糖尿病など内科的疾患へと繋がる。そのような視点で虫歯をとらえると、虫歯になって治すべきは「歯にあいた穴」のみでなく、それに至った「生活習慣」であり、「社会環境」であろう。
沖縄県は今では不健康にあえぎ、「30代や40代の糖尿病患者の増加」、「60歳以下の生活習慣病合併症による死亡率が高い」といった状況へ陥っているが、そもそも、「子供の虫歯数が全国最多」なことから県民の不健康は始まっている。「取り戻そう健康長寿」というなら、県を挙げ、真っ先に子供の虫歯予防、健康教育に力を注ぐべきだ。
近年の調査では、口腔崩壊(虫歯が10本以上ある)の子が県内の4割以上の学校にいることがわかった。心が痛む。
背景に保護者の経済的、時間的余裕のない「貧困」の問題が関与するという。
将来を担う子供の虫歯は、「自己責任」や「家庭の問題」で済ませず、「地域の問題」として認識してほしい。
医療費の無償化など支援も必要だが、どうか「歯にあいた穴」の治療にとどまらず、虫歯に至った「生活習慣」「社会環境」の改善にまで協議を深めていただきたい。
海外では砂糖が多く含まれる清涼飲料水に課税する国もある。
新潟県では30年以上前から「学校でのフッ化物洗口」を行い、子供の虫歯数は沖縄県の4分の1にまで減少した。
「学校でのフッ化物洗口」は、週1回のうがいで歯の質が強化され、虫歯のリスクが半減する。大きな設備は必要なく、年間コストも一人200円程、学校に通うすべての子供に平等に虫歯になりにくい生活環境を提供でき、家庭で守れない子にも恩恵がいきわたる。
取り組みには、子供を取り巻く「家庭・学校・行政・歯科」地域の大人たちの活発な議論が必要だが、その議論をすることが、大人の生活習慣改善へのスタートでもある。

はごろもファミリー歯科 神下 太一

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